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旅人:今泉 清保(HPはコチラ) 撮影:中村隆之

   校長 野田知佑
   「川の学校」吉野川・川ガキ養成講座
     〜第2回キャンプ 鮎食川(あくいがわ)〜

     
 
7月16日 晴れ

吉野川・川ガキ養成講座第2回。四国一の清流、穴吹川で行われる予定だったのだが、前日に雨が降って川が増水したため、急遽吉野川の支流、鮎食川(あくいがわ)で行われることになった。

四国一の清流を期待していたので、場所が変わったと聞いてちょっと残念に思っていたのだが、行ってみて驚いた。

徳島市内から車で30分ほどのところだが、とてもきれいな川だし、川原も広くてキャンプには持ってこい。

普通だったら中止になるところだが、こうしてすぐに代わりの場所が見つかるのが、吉野川の懐の深さなのだろう。
そしてこの日はとにかく暑かった。川原にテントを張っていたら滝のような汗が吹き出るほどの陽射し。
1回目は雨だったのだから、この天気はありがたいのだけれど、しかし暑い。

ということで、初日の遊びの希望を子供たちに取ったら
「流れ」が一番になった。

「流れ」というのは、ライフジャケットを着て川に入って流れるだけの遊び。釣りやカヌーや、とにかくいろんな遊びがあるのに「流れ」が一番人気という気持ちはわかる。 こんなに暑くて、目の前にはきれいな川が流れているんだもの。

アレックスも流れる!
ということで、子供たちは川に飛び込んで、思い思いに流れていた。

ただ流れる子もいれば、水中メガネとシュノーケルをつけて、川の中を見ながら流れている子もいる。
「いまちゃんも入ればー」と言われたので私も入ってみた。気持ちいい!
川の学校では、川に入る子供は
みんなライフジャケットを着る。

たったそれだけのことで、泳げない子も思いきり川を楽しむことができる。

川は危ないところだと思っている人は多いと思うが、
ほんとうは「川には危ないところもある」が、そのことを
わかって遊べば、こんなに面白いところは無いのだ。
流れて、また戻って流れて、を繰り返すだけなのだが、毎回気持ち良くて本当に面白い。

そんな子供たちの横では、腰まで水につかって川の中をじっと覗いている子がいる。

何をしているのかというと「見釣り」。字の通り、短い棒に糸と針とエサをつけて川に垂らし、水中メガネでエサと魚を見ながら釣るのだ。
釣りをしたことがある人は多いと思うが、魚がエサに喰いつく瞬間を自分の目でみたことがある人は少ないだろう。

清流だからこそできる遊びだ。

最初はみんななかなか釣れなかったのだが、コツをつかんだらどんどん釣るようになった。
ちなみに、川の学校に「キャッチ&リリース」は無い。
釣った魚はちゃんと食べる。

1回目のキャンプで配られた「肥後の守」というナイフで
さばくのだ。この日獲った魚は唐揚げになった。
晩御飯を待つ間、モンベル社長の辰野さんが、川原の竹林に入って竹を取ってきてくれた。この竹で笛を作るのだ。

まず息を吹き入れる穴を開け、それから「ド」の穴、「レ」の穴と開けていく。このときに使うのも「肥後の守」だ。まさに川ガキにとっては万能ナイフ。

みんな、穴は開けられるのだがなかなか音が出ない。
晩御飯の時間ギリギリまで、一所懸命笛を作っていた。

キリで穴をあけ、ナイフ「肥後の守」で穴を大きくしていく

野田校長も教えてくれる

あっちゃん、見事完成! どんな音がでるのかな?

辰野さんが完成した笛で「もののけ姫」を吹いてくれた!

仕上げはこうして火であぶる。水分が抜け音がしまり、
出てきた油で表面をこするといい色になる
川ガキ恒例の夜話。

ここではカヌーと笛の先生である辰野さんが、体が弱かった自分がいかにして冒険家になっていったか、という話をしてくれた。面白かったのは、椎名誠さん率いる「あやしい探検隊」で料理長を務める林さんの「お椀と茶碗の歌」。

ほんとにくだらない替え歌なのだが子供たちには大ウケ。
7月17日 はれ


2日目は「潜り」をやる子供についていった。

ライフジャケットと水中メガネにシュノーケルで、川の中を覗きながら、時にはもぐって魚を探し、棒の先にくし型の金具
がついた「ヤス」という道具で魚を突く。

釣りよりももっと原始的な遊びだと思う。
私もやってみた。
目の前にいる魚を突くだけなのだが、ほんのちょっとしたタイミングで魚が逃げていってしまって全然獲れない。

でも子供たちはどんどん獲ってしまうのだ。 「獲れたー!」と大きな声で叫んで見せてくれるときの、
あの得意げな顔といったら。

校長の野田さん始め、講師の大人の皆さんは、何を教えるというよりひたすら川に潜っている。
野田さんは、ライフジャケットをつけずに川に潜り、なかなか上がってこない。さすが年季の入った川ガキという感じ。

「あやしい探検隊」半漁人の川上さん もぐりの名人!
そのあとは「飛び込み」をやっている
子供たちのところにいった。

これまたその名の通り、ライフジャケットを着て、
川が深くなっているところに岩場からドボンと飛び込むというだけの遊び。

最初は恐くて飛べず、スタッフに抱えられて飛び込んだ!
岩場は、低いところでは1m、高いところでは5m以上ある。私も上に行ってみたが、飛び込むまではなかなか
勇気が要る。

たけちゃんという男の子が、飛び込もうとして岩の先に
行くのだけれど戻ってきたり、を繰り返してなかなか
飛べなかった。

みんなで応援してやっと1回飛び込んだら、あとはどんどん高さが高くなっていって、最後には一番高いところから
思い切り飛び込んでいた。

さっきまで全然飛べなかったのに!
これがまさに、子供が川ガキになる瞬間なのだと思った。
飛び込んで、水に沈んで、浮かんできたときにこっちを「どう?」と見るときの顔のかわいいのなんのって。

                                           飛び込み写真をさらに見るにはコチラ
足でガサガサしながら魚を網に追い込む ガサガサ


夜に仕掛けておいた網にうなぎが入った!
 
 
 
「あやしい探検隊」料理長、りんさんのチャーハン
 
野田さんの秘密兵器!

使った食器は各自、米のとぎ汁を使って洗う

2泊3日のキャンプは、またしてもあっという間に終わってしまった。
夜の焚き火で、子供たちと恋の話をしたのもいい思い出だ。

みんな、確実に川ガキになっていっている。
そして私も、遅れてきた川ガキになりつつあるような気がする。一緒に川に入っているときは、大人も子供も無いんだもの。

                                                                   今泉清保



   撮影/中村隆之  取材協力/(株)モンベル


                                           
「川の学校」校長 野田知佑

カヌーイスト、作家。熊本県出身。教員、雑誌記者を経て執筆活動に。
日本におけるツーリングカヌーの先駆者で、国内をはじめ世界中の川を旅する。
また「川遊びカヌー」を提唱し、川の楽しみ方を読者へ伝える一方、
河川改修やダム開発など公共事業による川の環境破壊をカヌーイストの立場から告発し続けている。

日本初のカヌーに乗れる犬「カヌー犬・ガク」を育てた事でも有名。
(ここに写っているのは現在のカヌー犬、一緒に暮らしているボーダーコリーのアレックス)

82年『日本の川を旅する』で第9回日本ノンフィクション賞新人賞受賞。
88年一連の活動に対して毎日スポーツ人賞文化賞を受賞。

主な著書
「今日も友だちがやってきた」
「なつかしい川、ふるさとの流れ」
「少年記」
「旅へー新放浪記」
「日本の川を旅するーカヌー単独行」
「ユーコン漂流」
「北極海へ」
「カヌー犬・ガクの生涯ーともにさすらいてあり 」