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旅人:今泉 清保(HPはコチラ) 撮影:中村隆之

   校長 野田知佑
   吉野川「川の学校 川ガキ養成講座」
         〜第3回キャンプ 吉野川第十堰〜

     
 
吉野川「川の学校 川ガキ養成講座」。
6月の第1回、7月の第2回と放送したが、
8月と9月のキャンプは、台風の直撃を受けて
中止になってしまった。

今年で6回目になる「川の学校」だが、
こんなことは初めてだとか。

というわけで、10月で終わる予定のところを
11月まで延ばし、あと2回のキャンプを行った。
今回はその2回のキャンプの様子。

10月のキャンプの会場は、第1回と同じ吉野川第十堰。第十堰、と聞いたとき、正直に言うと
「ほんとは違う場所が良かったな」と思った。
しかしそれは間違いであった。最初のキャンプは1泊2日だったし、天気も雨だったので、
私たちはちっとも遊び尽くしていなかったのだ。

今回も、子供たちはそれぞれに好きな遊びをする。
私たち取材班は、子供たちにあっちこっちくっついて回るのだが、私にはどうしてもやってみたいことがあった。
いや、毎回やっているんだけれど成果が出ないことがあった。釣りだ。早い話が、まだ一度も魚が釣れていなかった。



いつもは、子供たちに話を聞きつつ、なんとなく釣りをしていた。
釣れないのは寂しいが、まぁ子供たちが釣れているからいいか、という感じ。

でも、魚を釣り上げて喜んでいる子供を見ているうちに、なんとしても一度は釣りたいという気持ちになっていたのだ。
第1回から、いつも熱心に釣りをしている、なつという
女の子がいる。いつも黙々と釣りをしていて、
毎回何匹も釣っている。

今回、何故なつがよく釣れるのか観察してみた。 なつは
これまで特別釣りが好きだったわけじゃないそうだが、
飽きずにじーっと集中するのが好きなのだ。
そして釣りの名人のコマさんの言うことをちゃんと聞いて
実践している。

そういう様子を、なつの隣で釣りながら見ていたのだが、
なつが2分に1匹の割合で釣るのに対し、私はちっとも
釣れない。

しょうがないので、なつの仕掛け(浮きや重りの位置)を
見せてもらって真似することにした。こっちは大人で
相手は子供だが、釣りの世界では釣れたものが
偉いのだから、教えてもらえばいいのだ。

仕掛けを真似して、コマさんに
「もっと魚を誘うようにエサを動かさないと」という
アドバイスを受けた30秒後、いきなり小さな魚がかかった。

やったー! なんでもちゃんと教わるって大事だなー。
私は4匹釣ったが、
なつは最後に30センチ以上ある大きなボラを
釣り上げていた。

間違いなく今回の川ガキ釣りチャンピオンだ。
ボラは塩焼き、その他の魚は唐揚げにして食べた。
こちらはうなぎ釣りの様子

エサはミミズ。夕方仕掛けて翌朝見にいくと・・・
残念、今回はかかっていなかった まぁこんな時もある





夕方、河口付近の吉野川 魚がピョンピョン水面を飛び跳ねるのが見えた
「この時間は、魚の食欲が上昇して釣れやすくなる時間帯・・・時合(じあい)だ」とコマさんが教えてくれた


ドラム缶風呂

この日は他にもおかずがあった。
「あやしい探検隊」料理長のリンさんが、大きな骨付きの
ラム肉のかたまりを持ってきたのだ。

子供たちと一緒に解体し、塩コショウだけで味付けした
塩煮を作ってくれた。
モンゴルにでも行かなければ食べられない料理で、
ラムの独特のくせがあるのだが、それがまたクセに
なるというか。

噛むほどに肉のうまみがジュワ−っとにじみ出てきて
おいしかった。








夕食の後、エビを捕りに行くことになった。
暗くなると、川岸の岩の間にいるテナガエビが
捕れるんだとか。

ヘッドランプで岩の間を照らすと、2つの目が
光っているのが見える。

エビは後ろに逃げるので、エビの後ろにそーっと網を
入れて、エビをランプで驚かせてすくう。
「エビタマ漁」という、吉野川や四万十川に残る
伝統的な漁だそうだ。


暗闇の中、夢中でエビを捕った。

そこにいるのに思うようにならないというのが、
釣りとは違ってまた面白い。

捕れたエビは唐揚げにして食べた。
ちなみに、一度揚げたあと、油の温度を上げて
もう一度揚げるとカラッと揚がるそうだ。


今日は十五夜 お月見だんごをみんなで作って食べた

あんこ、きなこ、みたらし団子


2日目は飛び込みをする子達についていった。

7月は岩場から飛び込んだが、今回は第十堰からちょっと上流にかかる高瀬潜水橋の上から飛び込む。
「潜水橋」というのは字の通り、増水したときには川に潜ってしまう橋のこと。「沈下橋」とも云う。
水の抵抗を受けにくくするために、橋に欄干(てすり)が無い。

だからといって10月に飛び込む人は普通いないわけだが、川ガキは飛び込むのである。
もちろんライフジャケットは必ず着用する。
飛び込んだ子供たちが「冷てぇー!」と言いながら
上がってくるので、私も飛び込んでみたが本当に冷たい。

私は1回でやめたが子供たちは何度も飛び込んでいる。
スタッフのやっぴーが宙返りをしながら飛び込んで
拍手喝さいを浴びているのを見て、カメラマンのタカさんが

「いまちゃん体操部だったよね?」

と余計なことを言ったために、なりゆきで私も宙返りを
やるハメになった。
確かに体操部だったがそれは20年前の話だ。まぁ下は水だしなーと思い、前方に回って飛び降りたところ、
うっかり回りすぎて顔から落ちた。痛かった〜!

というわけで、大人になっても川遊びは楽しいのだが、調子に乗らないことが大事だという教訓を得た。気づくの遅いよ。



こちらは回転飛び込みが得意なスタッフのヤッピー!



第十堰に戻ると、子供たちが小さな木の舟に乗って漂っていた。梶を取る舟、梶取舟と書いて「かんどり舟」と読む。
船底が浅くて、方向転換をしなくても前にも後ろにも進めるようになっている。吉野川独特の形の舟で、鮎釣りに使われる。
第1期〜4期までのスタッフ スーザン




釣ったアユを入れるいけす

この舟の漕ぎ方を教えに来たのは、
川の学校の第1期から第4期までスタッフをつとめていた
スーザン。

そして、この日漕ぎ方を教わっていたたくやは第1期の
川ガキ卒業生で、スーザン班だったそうだ。

川ガキが、スタッフとして川の学校に戻ってくるのは
よくあることで、今回のスタッフの中にも
元川ガキメンバーが他に3人いる。

そしてスーザンは、吉野川が気に入って故郷の兵庫を
離れ、徳島に移り住んで吉野川の自然を守る活動を
している。

それほどの魅力がある川だというのが、
私にもわかってきた。




3回目のキャンプ最終日、
みんなで追い込み漁をやろう!と横一列に並び、
200m程先までジャバジャバ歩いていくと・・・!?
その先で待ち受けている網に〜〜〜!?!?



獲れたぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜!!!

300匹近い魚が網に入った!




もちろん食べました!











野田さんと林さんによる夜話









撮影/中村隆之  取材協力/(株)モンベル



「川の学校」校長 野田知佑

カヌーイスト、作家。熊本県出身。教員、雑誌記者を経て執筆活動に。
日本におけるツーリングカヌーの先駆者で、国内をはじめ世界中の川を旅する。
また「川遊びカヌー」を提唱し、川の楽しみ方を読者へ伝える一方、
河川改修やダム開発など公共事業による川の環境破壊をカヌーイストの立場から告発し続けている。

日本初のカヌーに乗れる犬「カヌー犬・ガク」を育てた事でも有名。
(現在のカヌー犬は、一緒に暮らしているボーダーコリーのアレックス)

82年『日本の川を旅する』で第9回日本ノンフィクション賞新人賞受賞。
88年一連の活動に対して毎日スポーツ人賞文化賞を受賞。

主な著書
「今日も友だちがやってきた」
「なつかしい川、ふるさとの流れ」
「少年記」
「旅へー新放浪記」
「日本の川を旅するーカヌー単独行」
「ユーコン漂流」
「北極海へ」
「カヌー犬・ガクの生涯ーともにさすらいてあり 」