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旅人 : 工藤彰乃

雪の大地で収穫・津軽冬野菜を求めて

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今回の目的は、津軽冬野菜といわれ・・・。冬野菜? 春野菜、夏野菜、秋野菜は聞いたことがあるけれど、
冬野菜って聞いたことがないなぁ。なんだろう??
と、今回向かったのは、青森県の津軽地方です。YAJIKITAでは、なぜか青森県に縁のある私。
その縁ある土地で出会う野菜に、私は心を奪われてしまったのです。

始めに訪ねたのは、深浦で「深浦雪にんじん」を作っていらっしゃる 坂本正人さんの畑です。
海が見える高台にある畑は、とにかく広い!! とにかく寒い!!
震えながら、坂本さんにお話しを聞くと、「まだまだ寒くないよ、こんなもんじゃない(笑)」とあっさり。
「もっと寒くならないと、 人参が甘くならないんだ。」というのです。



坂本さんと一緒に

深浦雪にんじんは、普通の人参と同様に秋に実がなるのですが、それを収穫しないで、さらに2ヶ月以上の間、
雪に覆われた大地の中で熟成させるというのです。
野菜は厳しい寒さにあうと、細胞が凍りつくのを防ぐために、細胞中の水分量を低下させる自己防衛機能があり、
雪の下で低温に包まれるとこの働きによって、人参の糖度が高くなり、栄養成分が濃縮されていくそうです。
そして、ここ深浦は熟成させるために適した土地なのだと教えていただきました。

お話しをしている時に「ここは広大な天然の冷蔵庫。こんな大きな冷蔵庫はどこにもないぞぉ。」と言った
坂本さんの言葉と誇らしげな笑顔がとても印象的でした。



とったど〜〜〜っ!!

「深浦雪にんじん」は、私がスーパーで見る人参より太くて、2〜3倍も大きな人参です。
私も、収穫を体験させていただきました。葉っぱの部分を引っ張ると、思ったより楽に抜くことができ、
黒い土の間からみえる、きれいなオレンジに新鮮さを感じます。今まで農業体験がなかった私は楽しくて、
何本も収穫させていただきました。楽しかった〜!

つづいて訪ねたのが、「岩木一町田セリ」を作っていらっしゃる山田秀明さんのところです。
実は、セリをちゃんと食べた事がなかった(どれがセリ?という程度の七草がゆを食べたことがある程度)で、
セリがどのように作られているのかも知りませんでした。

山田さんについて行くと、着いたのは田んぼ。田んぼの中からきれいな緑の葉がみえています。これがセリかぁ。
田んぼが凍ったりしないのかと聞いてみると、「一町田には、しずっこと呼ばれる豊富な湧き水があるので、
凍ることはないんだ。」との答え。この土地だからこそ、栽培できるのですね。特徴は、食感と香りのよさ。
私も早く食べてみたい!!

にんじんの収穫で楽しさを覚えていた私が収穫体験をお願いすると、山田さんは「本当にやるの?」と苦笑いです。
そして、山田さんの収穫する様子を見てすぐに、私は苦笑いの意味を知りました。

この寒さの中、腰まで水に浸かって腕を肩の近くまで入れ、約4〜50cmあるセリを根元から抜き、
一束ずつジャブジャブと水の中で根を洗っていきます。水が入らないように防寒具をつけているとはいえ、寒そう・・・。
でも、せっかくなので、山田さんに防寒具を借りて着てみました。案外似合ってると思いませんか。



足が抜けな〜〜〜い!

そしてチャレンジしたのですが、収穫どころではありません。前に進めないのです。おそるおそる田んぼへ入り、
足を踏み出そうとしたら、沈んでいく・・・抜けない・・・。「足をかかとから上げてごらん。」山田さんに教えてもらい、
進もうとするのですが、やはり思ったように動けず、そのまま真冬の田んぼで泳いでしまいそうでした。



膝まで水に浸かりながら奮闘中!

その後、なんとかセリの近くまでいったのですが、根が長く、どう抜いてよいのか分かりません。
大騒ぎしながら、やっと抜き、バラバラにしてしまいながら根を洗って、ようやく一束。その間、
手際よく作業をしている山田さんの姿は尊敬のひと言です。
私にとっては、とにかく貴重な経験でした。お世話になりました。



山田さんと一緒に

続いて向かったのは、「冬陽しゅんぎく」です。小堀博文さんのビニールハウスへお邪魔しました。
長さが約100mあるというビニールハウスです。その中は、もちろん一面しゅんぎく。実は、私は春菊が嫌いで(苦笑)。
でも、なんだか私の嫌いな春菊とは違います。
普段目にする春菊は濃い緑色ですが、ここにあるしゅんぎくは、もう少し淡い緑色です。



しゅんぎく摘みは楽しいなぁ〜

小堀農園のビニールハウスの中は、地下から湧き出ている温泉をパイプに通して張り巡らせてあり、
この温泉熱でビニールハウスの中を暖かく保ち、また冬の日差しが柔らかいため、
他の土地とは違うやわらかくてアクの少ないまろやかな春菊が育つのだそうです。



小堀さんと一緒に

冬陽しゅんぎくも収穫させていただきました。収穫中の女性に「根元から少し上の部分が、ポキッと折りやすいから、
そこをねらって・・・。手元のしゅんぎくを取りながら、次を定めて取っていくの。」教えてもらいながらやってみたのですが、
そんなにスムーズには取れません。やはり、違いますねぇ。そして収穫しながら、全く青臭さがないのに驚いていました。
結構楽しくなってきたのに、次へ移動。もう少し収穫を極めたかったなぁ。

最後は「大鰐温泉もやし」を作っていらっしゃる山崎光司さんの栽培施設です。
もやしが、どのように出来るのかも私は知りませんでした。もやしは深さ50cmほどの穴の中で育っていました。
穴の中は一面、もやしが栽培されています。もやしの周りからは、白い煙(湯気)が出ていてなんだか不思議な感じでした。

大鰐温泉もやしを現在栽培しているのは6人だけで、詳しい栽培方法は、
それを受け継ぐ人だけが知ることができるというのです。穴の中は、温泉の熱を利用して温度調節しているらしく、
水をやるのも温泉をかけるのだそうです。白い煙は、その蒸気なのだということですが、伝統の技などがあり、
詳しくは教えていただけませんでした。



結構重労働!


山崎さんと一緒に

でも、収穫の体験はさせていただきました。根元にスコップを入れて根をおこし、それを抱えて土を落とし・・・といっても、
山崎さんのように、一度にたくさん抱えることができず、持ちやすいように小さな束で体験させていただきました。
実際にやってみると、力仕事、男性の仕事だなぁと感じます。

そして、そのもやしを洗うのが奥さんの仕事。洗うのも温泉を使っていて、
すべてに温泉が重要な役割をしていることが分かりました。だからこそ、大鰐温泉もやしには、
独特のシャキシャキした歯ごたえが生まれるのだそうです。

さて、あとは収穫した冬野菜を食べるだけです。楽しみ!!!!!

まず向かったのは、弘前にあるフレンチレストラン「ポルトブラン」です。フランス語で白い戸。
という意味のお店の入り口は、白い扉。そして、オーナーは白戸(しろと)信幸さんです。
なるほど、オーナーのお名前からポルトブランが出来たのですね。

白戸さんは、弘前フランス料理研究会の会長さんで、
月に一回くらいのペースで会員の方とお食事会などを開いているそうです。お話しを伺っていて、
フランス料理に対する愛着が伝わってきます。わがままを言って、
私が収穫してきた野菜を使って料理していただいたのですが、とても楽しみです。

どれを食べても、美味しいのひと言です。とても繊細で優しくて、野菜の味を引き立てていて、素晴らしい!!

とりあえず作っていただいた料理を…。



マグロのタルタル・長芋のガレット仕立て

もやしとしゅんぎくのサラダ


マトウ鯛のほうれん草包み ブイヤベース仕立て


スズキのワイン蒸し しゅんぎくのソース


フランス産鴨のロースト 山葡萄ソース
深浦雪にんじんのピュレとセリのフライ、
ほうれん草チップ添え

私が収穫した以外にも、地元でとれた食材をいろいろと使ってくださいました。まぐろも、鴨も山ぶどうも、
青森でとれる食材です。

えっ、春菊って、こんなにおいしいの? サラダで食べられるなんて、どうして???
にんじんって、こんなに甘かった?? セリの香りは、こんなに優しいんだ。
もやしって、こんなに歯ごたえが良かった?? 山ぶどうの香りがいいわぁ。



白戸さんと一緒に

少しは伝わるといいのですが、とにかく感激しっぱなしでした。中でも、春菊嫌いの私がおかわりをしたくなるほど、
冬陽しゅんぎくのサラダは、クセがなく柔らかい味。ドレッシングも絶妙でした。もっと解説したいのですが、
長くなるので止めておきます。とにかく、津軽冬野菜とポルトブランのファンになりました。ご馳走さまでした。

そして、もう一軒。今度は、津軽郷土料理のお店「杏」へ伺いました。
食事をしながら津軽三味線の演奏も楽しめるというのですから、魅力的です。地元の方だけではなく、
観光で来ている方もよくいらっしゃるそうです。



店内では津軽三味線の生ライブも!

こちらでも、私が収穫した野菜を使ってお料理を作っていただきました。店長の山本滋紀さんに料理方法を伺うと、
「素材がいいからこそ、シンプルが一番。そのほうが香りや食感が生きるからね。」と、一町田セリと冬陽しゅんぎくは、
胡麻和えに。大鰐温泉もやしは、酢醤油で。深浦雪にんじんは、かきあげにして塩でいただきました。

日頃から、素材をいかす料理を心がけている。というだけあって、胡麻和えも薄すぎず、濃すぎずの味付けで、
セリの香りもしゅんぎくの香りも生きていて、本当に美味しかったです。もやしの甘みと食感を楽しみ、
にんじんが本当に甘いのだと知りました。



私が収穫した津軽冬野菜が、津軽の郷土料理に変身っ!


山本さんと一緒に

私が持ち込んだ以外に、津軽冬野菜だと出してくださった「砂丘寒堀りながいも」の炭火焼きも、
香ばしくてシャキシャキ感がクセになる味でした。「清水森ナンバ」の南蛮漬けも、白いごはんがあれば、
それだけでいいというほど、おいしかったです。
また、ぜひゆっくりと飲みに行きたいです。本当にありがとうございました。

今回の旅で、野菜を収穫できたことも、津軽の冬野菜に出会えたことも、私にはとても刺激的でした。
普段食べている野菜との違いに驚いてばかりでした。東京でこれらの野菜に出会うことができないのが、
とても残念で仕方がありません。だからこそ、また津軽地方へいき、津軽冬野菜を食べた〜い!!!と思うのです。
みなさんも、是非、ぜひ、脚を運んで食べてみてください。こんなに違うものなのかと、実感できるハズですから。

弘前に数多く残る洋風建築の建物もライトアップ中!

 

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