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旅人 : わたなべヨシコ

信州の鎌倉 上田…、別所線で行く旅。

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長野県上田市。
その中でも塩田平とその周辺地域は「信州の鎌倉」と呼ばれています。
ここは長い時間、風雪に耐えながら歴史を刻んだ建物がほぼ完全な形で保存されている、まさに「文化財の宝庫」なのです。
今回は私、わたなべヨシコがその長い歴史に想いを馳せながらのんびりと初春の上田・別所温泉を散策したいと思います。
ご協力は上田市商工観光部観光課の中村和宏さんです。

やっぱりのんびり旅に欠かせないのが「電車」。
ということで今回、上田〜別所間を結ぶローカル鉄道「上田電鉄別所線」に乗る事にしました。
大正7年(14年全面開通)に開業した別所線、かつては戸袋窓がおしゃれな楕円形だった「丸窓電車」が
走っていたんですって。(その当時の車両は別所温泉駅などで見られるそうです。)
最近電車に興味が出てきたわたなべも大興奮!!

しかし…
最近はローカル鉄道存続の危機が言われていますが、この別所線も財政難を抱えているそうです。地域の方にとっても
大事な移動手段でしょうし、私達観光客にとってもその地域風情を楽しめる一つの楽しみでもあるんですよね…

ゆっくりと電車に揺られながらの文化財巡り、最初に訪れたのは

■前山寺

塩田町駅下車。そこから歩いて40分。
うっすら雪が残る山に向かっておいしい空気を体いっぱいに吸いながら…いい散歩になりますよ!
「ええっ!40分!体力に自信がないなぁ…」というアナタにも安心!シャトルバスも運行されているそうです。

結界を意味するという木造の「冠木門」をくぐり
100mほどある石畳の参道の両脇に並んでいる赤松や欅の巨木が私たちを迎えてくれます。
その視界の先には大きな山をバックにお寺が広がっていて、それはもう旅の写真に出てくるような美しさ。
自然と心も落ち着きます。

もうひとつの門(薬医門)をくぐると目の前には国の重要文化財である「三重塔」が。
建立された年代は不明ですが、様式からおそらく鎌倉時代であろうと言われています。
中村さんに「わたなべさんこの三重塔、どこか不思議な感じがしませんか?」と尋ねられ、
塔をまじまじと見ていたら確かに窓もなければ扉もない、はたまた回廊もない…かなりシンプルな造り。
この前山寺三重塔は「未完成の完成の塔」と呼ばれているそうです。

「未完成の完成の塔」

…??これは一体どういうことだろう??

中村さんが教えてくれました。
この未完の姿を見ていると自分の未完を感じてくる。どんな人にも可能性があるということ、
生涯学び続けていくことの大切さをこの塔は教えてくれるのだそうです。

シンプルで静的に見える三重塔ですがその姿をもって、私達に「人はどうあるべきか」をしっかり説いてくれています。
人生日々勉強です。若輩ながら私も塔を声を出さず見上げながら自分の“これから”を学ばせていただきました。

前山寺を後にした私達。
近くに上田紬の工房があるというのでお邪魔しました。

■藤本つむぎ工房

長野県は昔から養蚕が有名な土地。
農村地帯ではそれぞれの家庭で蚕が飼われていたそうです。
中でもこの上田紬は江戸時代から大島紬、結城紬とともに3大紬の1つと言われています。

工房の扉を開けると機織機のリズミカルな音が聞こえてきました。
木がぶつかる音はとってもあったかいんですね。
今まで機織りしているところを見たことはなかったんですが、不思議とおばあちゃん家に行ったような懐かしい気持ちに。

お店の中にはショールやネクタイ、バッグなどが置かれていて、じっくり見させていただきました。
柄は縞や格子が主体、色は全体的に落ち着いていて決して派手ではありません。
自然の色っていうのかな?あまりの素朴なかわいさに
わたなべが持っている全力の甘えん坊さ加減でスタッフにねだってみましたが、速攻却下されました。。シュン。
そんなスタッフの皆さんは五本指靴下をまとめ買い!!取材には欠かせないアイテムだわね。
話が逸れてしまいましたが…

お仕事中の織り子さんにお話をお伺いしましたが(お忙しいところすみません)、上田紬ってとても丈夫なんですって!
どれくらい丈夫なのかと言うと
なんと!裏地を三度も取り替えても表地はへたらないのだそう。
やっぱり庶民から生まれ庶民に愛され続けてきたものだからなんでしょうね。
あぁ…買っておけばよかった。。

工房を後にして、再び別所線に揺られ終点別所温泉駅へ。

そこには大正浪漫を感じさせる羽織袴の女性が!
尋ねたところなんと駅長さん。
別所温泉に来られたお客様に楽しんでいただこうという「おもてなし」の気持ちからこのお姿でお仕事されているんだそうです。

驚いたのはそれだけではありません!
降り立った駅舎はかなりレトロ!!レトロラブ!
駅長室の「駅」の字が旧字体なんですよ!
駅舎内も昔の観光案内やらポスターやら所狭しと飾られています。
開閉式の木製ドアも「ギーッ」と音を立ててお客さんを迎えてくれます。

駅長さんによると
この別所線ではもう一人名物駅長さんがいらっしゃるという事で、
その駅長さんが到着されるまで駅長室でお茶をごちそうになりました。ありがとうございます。
昔ながらの大きなストーブに大きなやかん…何もかもタイムスリップしたみたいで私の心を鷲掴みにしました。

「もうそろそろ到着されますよ!」との声にホームに出て電車をお出迎え。

電車から降りてくるお客さんがみんな笑顔!
「ハテ?何があったのですか?」とお客さんに聞いてみると
「ハーモニカがすっごく楽しかった!!」「駅長さんがおもしろかった!!」の声・声・声…
ん?ハーモニカ?駅長さん?そのヒントを辿っていくと電車の中に答えがありました!
白い制服を着た駅長さんが電車の中でハーモニカを演奏してくれるのです。
しかも歌詞カードをお客さんに配って一緒に合唱しながらの別所線の旅。
感動!!!あったかいなぁ!!

私もどうしても駅長さんの演奏が聴きたくなって、演奏していただきました!!
曲はみんなが知っている童謡などを演奏してくれるのです。

ハーモニカの音って本当に久しぶりに聞きましたけど、
小学生の頃学校から家に帰る途中に友達とハーモニカ合奏した事を思い出して胸がジーンってなりました。

駅長さんは「喜んでくれるお客さんの顔を見るのがたまらなく嬉しい」っておっしゃってました。

なんだか日本人が忘れかけている魂をここに見つけました。感動して泣けてきました。
そんな別所温泉駅から歩いて10分。
段々と木が生い茂り辺りを暗くしていきます。
石段を登り山門をくぐると正面には…

■安楽寺

わらぶき屋根が見事な本堂が広がる、信州で最も古い禅寺、安楽寺に到着しました。
本堂の先には道がありその木に囲まれた道・石段を進んでいくと、
国宝・八角三重塔がどっしりとした風格でそびえ立っていました。
石段を上がったところ私達の目の前あまりにも近くで見られるというのもありますが、かなりの迫力で迫ってきます。
冷静に塔を見てみるとそこに一つの不思議発見!

三重塔と言われていますが、どう見ても四重塔に見えるのです。

中村さんに聞いてみました。
一番下にあるものは「もこし」と言われるひさしで、
中国の宋時代の禅宗様(唐様)という様式を忠実に守って建築されているんだそうです。
確かに中国にある塔の雰囲気が漂っていましたよ。
しかしそこでまた不思議発見!

なぜ?中国の様式なのか?

中村さんに聞いてみました。
安楽寺の二代目のご住職は中国生まれの人と言われていて歴史を探っていくと、
どうもこの塔はそのご住職が建てたものではないかという説があるのだそうです。

なるほど!!勉強になります!

そして塔の細部に渡るまで見てみると、屋根を支えている木組みは素晴らしく細かく、
素晴らしく緻密に成されている事に驚きました。
もちろんこの塔が建てられた時には今現在にあるような便利な工具なんてものはありません。
すべて手で作られたものです。
そう考えると設計した人々や実際に部品の一つ一つを作った人々、それを組んでいった人々…
どうやってこの塔は建てられていったのか…
小さい頃塔のプラモデルを作っていた私は思わず唸ってしまいました。

安楽寺の程近く、今度は県内外の人たちが訪れる場所を訪れました。

■北向観音

「北向観音」と書かれてある鳥居をくぐり石段を降りていくと、昔ながらのお土産物屋さんがずらりと参道に並んでいます。
川を越えた辺りで中村さんが「わたなべさんここには飲泉場があるんですよ〜」と教えてくれました。
ふと横を見るとホッカホカと湯気を立てて温泉が出ているではありませんか?
中村さんが飲泉の効能を教えてくれました。
フムフム…なにぃぃ!美肌やら○秘やら女性にうれしい温泉じゃないのぉぉ!!!
ということで硫黄の匂いが鼻にツンと来るけどそれは我慢ということでゴクリ。

結果はどうだったか??

イイ感じでしたよぉぉぉ〜アレにバッチリ効きましたよ〜!!(個人的に)

参道を通り今度は石段を上ると北向観音が。
この日は和太鼓の演奏イベントが偶然開催されていて、迫力ある和太鼓の音が厳かな演出をしてくれていました。
この北向観音は厄除けの観音様で、何故「北向」と言う名前なのか??
またまた中村さんが教えてくれました。
それは長野市の善光寺と関係があるそうなんです。
善光寺は南向きに立っていて、この(北向)観音様と向き合っているところから名付けられたんだそうです。
善光寺と北向観音のご利益は一体のもので、
北向観音で「現世利益」をお祈りして善光寺では「未来往生」を願わなければ片詣りと言われるのだそうです。
ちなみにわたなべはFM長野で番組をやらせていただいた時に善光寺には行きましたのでバッチリ!!

さて旅を続けていると、自然と疲れが溜まりますね。
北向温泉を後にして、今日の宿に向かっていると途中には…

■足湯ななくり

最近出来た足湯だそうでまだ新しい匂いが漂います。
八角形の屋根なんですが、これは安楽寺の国宝・八角三重塔をモチーフにしているのだそうです。ということで定員も8名。
地元の人たちの憩いの場としても活用されているそうです。私が行ったときにはいなかったけど…
(涙 やっぱり地元の良さは地元に住んでいる人に教えてもらうというのが旅の醍醐味だったりしますね!
お湯はほとんど匂いはありません。わたなべおもむろにジーパンをたくし上げお湯にまっしぐら。
じんわりとあったまってきて一緒に疲れが流れ出るかのような感じ。気持ちよかった〜



■旅館つるや

今回私たちがお世話になったのは「旅館つるや」さん。
別所では一番古い歴史を持つ旅館(創業は元禄!)でかつて上田藩士専用の風呂として使われていたんだそうです。
その歴史深いお風呂に入れるのか!とワクワクしてたんですが、どうも男湯なんだそうです…残念。
この旅館ではご主人の山極さんがスライドを使って周辺の名所旧跡や風景などを紹介してくれます。
スライドっていうのが懐かしい感じでいいですな!
とってもわかりやすく、ご主人のお話も興味深くしっかりお勉強させていただきました!

ということで今回の取材は終わり、ゆっくり温泉へ。
そこで宿泊客のご婦人と仲良くなっちゃいました。旅っていいですね〜
そしておいしいお料理に舌鼓…
その後、部屋でお酒を飲みながらスタッフのみんなと談笑(←そんな穏やかな雰囲気ではない)して
別所温泉の夜は更けていくのでありました。

実は「信州の鎌倉」には今回ご紹介した以外にも沢山の文化遺産があります。
残念ながら一日では回りきれなかったのが残念です。それぞれに興味深いエピソードが眠っています。
機会がありましたらまたそのステキな歴史を紐解いていければ、
そしてもっともっと「和」の素晴らしさを皆さんにお伝え出来れば嬉しいです!!頑張ります!

 

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