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JFNアナウンサー 中田美香  

土湯温泉で癒される!〜その舞台裏は…〜

 
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風がすきとおり、ひぐらしのさえずりや荒川のせせらぎといった、自然の歌まつりが展開される、そんな夏の土湯温泉を訪れた。

旅の醍醐味といえば、やはりその土地ならではの料理と温泉、そして、何よりも、心癒される非日常的な空間である。

今回は、その非日常を日々演出している、温泉旅館の舞台裏を探った。
朝11時、宿泊客がチェックアウトを済ませ、しばし静寂が訪れているフロントに、私達スタッフがバタバタと到着した。

まずは、ご自慢の温泉拝見と行こう。

お話を伺ったのは、土湯に生まれ育った、温泉エキスパートの丸山さん。

展望の宿「観山荘」は、大浴場に露天風呂、4種類の貸切風呂などあわせて12の湯船がある。

ゆとりの湯
丸山さんはその全ての温泉の温度を、ボイラー室にて毎日、その日の天候や気温にあわせて調節しているのだ。

60度もあるという源泉を、客が四季を通して心地よく入れるようにと調節するのに大切なのはただ一つ、丸山さんが長年の経験をもとに培った“勘”のみだ。

いくつもある蛇口のような部分を素早くひねり、最終的には、直接湯に触れて確かめている。


いこいの湯


めぐみの湯
ここには、数ある日本の温泉宿でも珍しいバリアフリーのお風呂がある。手摺がお風呂の回りに張り巡らされ、高齢者や体の不自由な方にも優しいお風呂だ。

こういった所にも、お客への思いやりを感じる。


バリアフリーのいやしの湯
数年前から始めたという足湯は、土湯の山並みを一望できるロビーの窓際に備え付けられていた。

私もジーパンの裾をめくって、しばしリラックスだ。温泉街を一望しながら、15分位経過すると、早くも体がぽかぽかしてきた。

ちなみに、土湯温泉街にはあらゆる場所に手湯が存在する。大きな壺の中に湯が溢れており、そこに手をつけるというものだ。こんな所からも、街の人々の粋な計らいを感じる。

さて、時刻は15時過ぎ。

調理場では、既に丹治料理長が仕込みを始めていた。

宿泊客の夕食の時間は当然バラバラである。素材と時間が勝負といわれるお料理が、お客の元に最高の状態で運ばれるには、どのような苦労があるのだろうか。

最大のポイントは、板前さんと仲居さんとの連携プレイにあるようだ。
混雑時には300人もの宿泊客が訪れるこちらの旅館の板前さんは、たった5人。

仕込みから、盛り付け、皿洗いまで、全て手が空いたものが進んで行なうのが鉄則だ。

夕食の時間が近づけば、仲居さんも着物を着たまま調理場を走り回る。

まさに、戦場と化する訳だ。
宿おすすめのきじコースを、私も堪能させて頂いた。

初めて頂くきじ肉のしゃぶしゃぶは、まさに口の中でトロけるほどやわらかい。湯にさっと通すだけで、鮮やかなピンク色になるのだ。これは、お酒がぐいぐいと進む。

地酒の純米大吟醸は、観山荘オリジナルだ。ラベルには女将さんのお子さんの名前が入っている。

女将さんが仕事を離れて家族と過ごす安らぎの表情を、一瞬垣間見た気がした。
その頃、仲居さん達は調理場から料理を運び出すのに大忙しだった。

女性の手で、時には、ビールの大瓶20本近くをのせたお盆を運ばなければならないというから、重労働である。

仲居頭に話しを伺うと、

「ちょっとしたコツがあるんです」

と、いたずらっぽく微笑んでいた。

所で、長年仲居の仕事をしていると、酔っ払った際にその人がどうなるか、大体のタイプが分るようになるそうだ。
酒好きの私としては、安心なような、少し怖いような・・・。


ロビーで女将さんに…


仲居頭の北郷さん
夜の9時をまわり、仕事を終えた女将さんのオフタイムもご一緒させて頂いた。

向かった先は、女将行き付けの小料理屋「ひさご」。
夫婦二人で営んでいるこのお店は、趣味の良い小物が並べられ、食器やお猪口の一つ一つにもこだわりが感じられる。

このアットホームな空間で、女将は一日の疲れを癒す。

我々スタッフ一同も、女将と乾杯を済ませると、たった一日、その舞台裏を密着させて頂いただけだというのに、大仕事を終えた様な錯覚に陥る。
旅館の女将というと、バリバリ働く男勝りなイメージがあった。

しかし、観山荘の女将は、家族を何よりも大切にする、母性に溢れたおおらかで優しい方だ。
女将は、

「旅館の従業員は皆私にとっては息子であり、娘でもあり、家族のような存在」

と言い切る。
観山荘は、土湯温泉で最大の温泉旅館である。

にもかかわらず、この旅館にはふるさとに帰ったような温かさが存在する。それはまさに、女将の人柄が表れているのであろう。

気軽に立ち寄れ、日頃の疲れ癒してくれる、観山荘・・・。

ゆったりと宿泊者が過ごすひとときを演出するために、何倍もの時間が費やされ、何倍もの人が準備に携わっていることを、今回のリポートを通して実感した。

ありがたい!!!

 
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