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旅人 アウトドアカメラマン 中村隆之 撮影/中村隆之

活火山、牛・鹿と暮らす島鹿児島県・口永良部島(前編)

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黒潮の中に浮かぶひょうたん島、
口永良部島の玄関口となる港の風景。

陽光が温かく差し込み、春を感じる日でした。
なんだかのんびりしてしまいます。

屋久島宮之浦港からは、このフェリー太陽に乗って
2時間弱で口永良部港に到着する。1日1便運行。

港の入り口に立っている総合案内図。
口永良部島は鹿児島県屋久島の西方約12kmに位置する、ひょうたん型をした薩南火山郡島最大の火山島であるとのこと。
現在の島の人口は150人ほど。

島内には民宿が7軒。
思わず四季の味というところに注目してしまいました。

口永良部島は別名「緑の火山島」とも呼ばれています。


口永良部島には古岳、新岳、2つの活火山がある。
七窯集落跡という場所から古岳を目指して登リ始める。


今回登った古岳をはじめ、口永良部島全体を
案内していただいたガイドの山口正行さん。
豊富な経験と知識で質問にも的確に答えてくださいました。



島のアチコチで見かける待避壕。
一番最近大きく噴火したのは1966年とのこと。

海へ向かって勢い良く火砕流が流れた跡が見える。

登山道入り口の目印はこのたくさんの杖。

屋久島とはまた違った明るい常緑樹の森が続く。ときおりこんな巨木にも出逢う。

こんな光景に出逢うと、この森の力強い生命力を感じます。

雄のヤクシカが角を研いだ跡を発見。

こうやってちょっと目線を下げてみると、木々の間に
鹿の道があるのが解ります。
ヤクシカは本州に棲むニホンジカの亜種で少し小型の
シカです。



こういった山の標識やマーク、登山道は地元の方が
ボランティアで整備しているとのことでした。感謝。


ヤクシカのフン

あたりを見回すと、木々のあいだからそっとこちらをうかがう視線に気付きます。
これはかわいい雌のヤクシカ。

ここ古岳では、戦時中に火薬の材料として硫黄が盛んに採掘された。噴火口で集められた硫黄は牛の背中に載せて麓まで運んだという。
そのためこの写真のような石垣で整備した牛の道が、現在でも一部の登山道に残っている。

食虫植物のモウセンゴケを見つけた。

中腹からの眺め

古岳火口へ到着。シューシューという噴気の音と強い硫黄臭があたりに漂う。

この日は風が強く火山性ガスが滞留していなかったので、古岳の噴火口を歩いてみた。

硫黄の塊。島では昔、水の消毒に使っていたそうだ。

近づいてみると噴気口からは勢い良く高温の蒸気が噴き出し、綺麗な硫黄の結晶がびっしりついているのが見えた。
卵を持ってくればゆで卵が作れて楽しかったかも知れない。

戦時中に作られた岩屋の跡。
ここに硫黄が集められ、牛の背に載せて運ばれたという。

眼下に古岳噴火口が見える。

民宿で用意していただいたお弁当を食べる。気のせいかお尻が温かいのは噴火口が近いから?。

山頂からフェリーで到着した口永良部島港を見下ろす。
この島がひょうたん島と呼ばれるのが良く解る。

山頂に広がるまるで空中庭園のような不思議な光景。
園芸用ツツジの原種と言われるマルバサツキが、手入れの行き届いた庭園のように群生していた。
花が満開になる6月頃の眺めは見事な事だろう。
ぜひまた来てみたいと思った。

今回一緒に登ったみなさんと記念撮影。
みなさんお元気な方ばかりで楽しい登山でした。

新岳へ向かう尾根道を歩く。正面左に新岳火口の一部が見える。このあと下山。

山頂には地震計が設置されている。気象庁の資料によると口永良部島の現在の火山活動レベルは2(やや活発な火山活動)。噴煙活動のやや活発化、火山性地震・微動が増加するなど火山活動がやや活発化している状態で、噴火活動への移行段階の可能性があるとのこと。


口永良部島では、黒毛和牛を自然の中で周年放牧している。雄牛と雌牛が自然交配することで生まれる元気で強い子牛を、各地の肥育牧場へ出荷している。
この島生まれの子牛達が、のちに松坂牛などのブランド牛になるという。

牧場の守り神のような、島の生命力の象徴のような大きなガジュマルの木。幹からたくさんの気根を大地に延ばし力強く立っていた。

放し飼いのせいか島の牛には強い野生を感じる。特に雌牛達を引き連れた、群れを守る雄牛(角あり)の目つきが鋭い。写真を撮っていると怖いくらい。

牛のエサ=ヤクシカのエサでもあるわけで、牧場にはこんな感じでシカの群れも見られます。
アフリカかどこかの景色みたい。

ここも牧場。島の牛達はこんな環境の中で潮風を受けながら笹を食べ、大きく健康に育ちます。


火山島である口永良部島には3つの温泉が湧いている。
ここ湯向(ゆむぎ)温泉は湯向集落の中心にある。

これが湯向温泉の源泉。
温泉小屋の前の普通の場所にボコボコ湧いて来ている。

湯向(ゆむぎ)温泉小屋。地域の方による維持管理で良く整備された温泉。内部は男湯女湯に別れています。

黄色い湯の花が舞うお湯。硫黄臭が強くいかにも効き目がありそう。地元の方の社交場にもなっているので、いろいろな話が聞けるかも知れません。

湯向温泉は神経痛や皮膚炎に良く効くとのこと。この温泉によってここに集落が出来上がったという話を聞きました。

海岸に湧く寝待温泉。湯温は45度。
優れた効能があるお湯で、皮膚炎や神経痛に効くと言う。
乳白色に濁ったお湯はいかにも効果がありそう。

寝待温泉近くの海中にそびえ立つ「寝待の立神」。
こんな雄大な景色の中での入浴はなかなか他では味わえない。よく探すと立神周辺の海岸にも温泉が沸いているのを見つける事が出来る。

寝待温泉は古くから湯治場としても知られている。
12軒の湯治小屋(というか住宅)があり1日1軒400円程度で滞在出来るという。温泉近くの海岸では夏になると海水浴も出来るので、素敵なビーチハウスとしても活用出来そう。

浴槽と屋根だけのシンプルな海辺の温泉「西ノ湯」。
海岸から吹き抜ける風を感じ、潮騒を聞きながらの入浴はかなりの贅沢を味わえる。
温泉の効能+タラソテラピー効果が期待出来そう。胃腸病・婦人病・神経痛に効くという。本村から歩いて15分ほどの場所にあり、海水浴場もすぐ近くにある。

ちなみにこの西ノ湯は混浴です。
源泉の温度は60度。干満の差で湯量が変化するので、入浴するときは潮の満ち引きに気をつけて。

[写真/中村隆之]
今回の旅人、
アウトドアカメラマンの中村隆之(なかむらたかゆき)です。

カヌーやカヤック、ラフト、マウンテンバイク、トレッキングなど、
自然環境へのインパクトの少ない「人力」という方法を使って世界中の辺境&極地に入り、そこに暮らす人々の文化や自然を写真におさめて発表しています。

これまでアラスカ、ロシア、カナダ、スイス、ニュージーランドなどへ30回以上の遠征を行いました。
最近一番心に残った遠征先はグランドキャニオンの川下り。
個人の入域許可が下りるまで12年待って、夢のような1ヶ月の激流生活を過ごしました。

3月8日発売のTarzan誌には、作家の野田知佑さんとおこなったニュージーランド遠征の模様が寄稿掲載される予定です。
4月にこの番組で放送予定の「伝説のクマ・スピリットベアを探しに行くカナダへの旅」もお楽しみに。
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