周辺地図はコチラ
 
旅人 : JFNアナウンサー 井門宗之

鉄っちゃんのつどひ、そして伝説へ vol,2

HOME兵庫1>兵庫2
     
 
<かけがえの無い鉄橋の架け替え>と題して旅を続ける今回のYAJIKITA。

取材先は「餘部鉄橋」である。JR西日本・山陰本線の、鎧駅と餘部駅の間にあるこの鉄橋は、長さ310m、そして高さは41m。1912年に建てられたこの鉄橋は、日本海を目の前にした立地による潮風の影響と老朽化で架け替えを余儀なくされている。

しかし餘部鉄橋は長年に渡り、この地の観光資源として地元の人々にとってかけがえのない存在であった。
ここで暮らす人々にとって、この鉄橋が無くなる事はどんな意味を持つのか?

今回の取材の焦点はそこなのである。にゃ〜。
さて現在JRでは、来年春の鉄橋架け替え工事に
伴い、メモリアル列車を走らせている。

という訳で早朝から鉄橋の下には全国から
鉄道ファン達がわらわらと集まっていた。

田んぼの畦道を埋め尽くすその姿は稲穂の如し!!キラキラと輝いている。目が。

集まった車の数もスゴイのだが、ナンバーを見ると
北は東北、南は九州と、幅広い。
やはりファンならではの鉄橋への想いも
当然あるだろう!ということで折角なので
ファンの声も聴いてみる。

井門『鉄橋の魅力は何でしょうか?(恐る恐る)』
ファン『いやあ、鉄橋の色と、メモリアル車両の鉄道色がたまらないですよね!?


あのぅ、「よね!?」って言われても…。



そうこうしている内に例のメモリアル車両が鉄橋を通過する。


パシャパシャパシャ!!
パシャパシャパシャ!!


その勢いたるやアイドルの撮影会並である。たくましい。そして次の列車をベストスポットで撮影すべく、
無数の機材を抱えて大移動していくファン達。このファンの熱意と数の多さを見て、
やはり鉄橋が一大観光資源だという事を改めて認識した。

さてさて、この餘部鉄橋はこの様に、全国のアマチュア
カメラマン達の間でも聖地たる場所なのだが、この余部の
町にもこの鉄橋と列車を撮り続けた方がいらっしゃった。
それが余部在住のカメラマン:千崎密夫さんだ。

千崎さんはまさに餘部駅が出来た昭和34年頃から、
この風景を写真に収めている。

仕事場にお邪魔した我々を迎えてくれた千崎さんは、
とても穏やかに鉄橋と過ごした日々を語ってくださった。

写真は撮影した人の性格を写すとも言われるが、
千崎さんの写真はとても優しく、どれもこれもに思い出が
詰まっているという。日本海の荒波に晒されながら必死で
撮った写真、雪深い時期に足をとられながら撮った写真、
懐かしいSLが鉄橋を渡る素晴らしい雰囲気の写真。

まるで絵本の様に、千崎さんのお話と写真を眺める
我々YAJIKITA一行。
同じものをモチーフに写真を撮り続ける作業は、本当に大変なことだと思う。

例えば僕が「毎週トークのテーマは『カレー』だ!それ以外はダメ!」って言われたらキツイもん。
新鮮さを失わず、且つ、どの写真も物語を持っている。いや、恐らく大変な愛が詰まっているのだ。

実は、その愛がたっぷり詰まった餘部鉄橋の写真集、千崎さん出版してるんです!
タイトルはズバリ!!




ありがとう余部鉄橋 余部鉄橋風景写真集






ほとんど個人でやっているため部数も無いとの事ですが、ひとつ形にするという事は素晴らしい。
鉄橋が無くなっても、この余部には素晴らしい景色が沢山詰まっている。

千崎さんにはこれからも素敵な写真を撮り続けて欲しいものである。

さて、本当なら先週の旅日記で皆さんに
お伝えするはずだったのだが、
実は今回のYAJIKITAでも井門宗之<体験レポ>を
敢行した!お待ちかねである。

しかも今回は食べ物系体験レポ!!これはやる側も、
スタッフも嬉しいレポだ。なんせ喰える(笑)

香美町には『海の文化館』という博物館がある。

余部のある香美町はまさに海産物の宝庫!
というわけでこの博物館では、地元で捕れる
海の幸をはじめ、世界中から海の生き物の

剥製を集めた博物館である!

って剥製なんだ…。



でもね、その数が半端ぢゃないんだよ!
約450種、1400点の魚類と、甲殻類の剥製他1700点の貝類を展示。

これは全国的にも類を見ないんじゃないだろうか。

しかもこの剥製が凄い。
まるで生きているかの様にリアルな剥製を作ったのは、
瀬戸内海水産美術工芸研究所の種政幸氏。

香川県在住なのでお話を伺うことは出来なかったのだが
『海の文化館』でお話をうかがったのは、
館長の藤原進之助さん。

がっちりした海の男をイメージさせる方だが、
実は海の男ではなくて長年役場で働いていたのだそうだ。

藤原さんに案内されながら、館の中へと入っていくと
やっぱり物凄い数の海のお友達が…。

館の入口中央の巨大なクロマグロの剥製の前に立つと、
思わず大漁旗を振りたくなる。

クロマグロ捕ったど〜!!って言いたくなる。

ひとしきり館内を案内してもらったら、
文化館横にある工房へ移動。ここで出来る体験とは…、





焼きちくわ作り体験




おぉ…、シシマル元気でござるか??ニンニン。

そう、ここは海の資源が豊富な地域。
それを活かしてここを訪れた人達に焼きちくわ作りや、
イカの一夜干し体験をさせてくれるのだ。

イカの一夜干しはYAJIKITA佐渡の回で体験済み!

ならばという事で、今回は焼きちくわを作るのだ!

50人はゆうに入れる工房で館長の藤原さんに手順を伺っていく。まずはチクワの元となる白身魚のすり身だが、
中身はタラ・エテガレイ・アジとなっている。もうすり身の段階で旨そうだ。

このすり身を粘り気が出るまで、コテを使ってコネコネと練っていく。
藤原さんは非常にリズミカルに練っていくのだが、井門の方はどうもいけない。

うむ。ここは根気よくなのだ。過去でも振り返っておこうか。

そうだ、体験で思い出したが井門がこの仕事を
始めてから一番最初に挑戦した体験取材は【ソバ打ち体験】だったっけ…。

栃木県でヒルアベの公開生放送だったなぁ。
当時レポーターだった井門は、生放送中にソバを 打って
スタジオに持って帰り、茹でたてを先輩のナカミーに
振舞うっちゅう段取りを見事成功させ、絶賛されたもんだ
(ちょっと嘘)。

やはり自分で何かを成し遂げると深く深く覚えているもんだ。
ソバ屋さんがスタジオから車で30分強の所にあったので、帰りはかなり焦ったっけ。

でもそれも生放送の醍醐味なんですよ、皆さん。
さて、過去をたっぷりと振り返っている内に、
焼きチクワのもとは形も整ってきた。

続いてはこれを鉄の棒に丁寧に巻きつける作業。
これもコテを使うのだが、さすがに慣れてきた
井門の調子は絶好調。

難なくこなし、いよいよ焼きの作業へと入る!

焼きチクワを焼くのには、何と専用の機械があるのを
皆さんはご存知か??

ボクの目の前に鎮座する、
50本はチクワ焼けるんぢゃないの?って位、巨大な機械。

其の名も…、







安井式竹輪固定焼機!!





日本人ってのは偉いなぁ、そして賢いなぁ、って思うよ。
どんなものでも効率化するその知恵に乾杯なわけですよ。うんうん。

というわけで井門が成形したチクワちゃんを安井式に固定!火を点け、スイッチを入れるとチクワを巻いた鉄の棒が
グルングルン回り出す。と、ここで藤原さんから注意点。

藤原「あんまり近くにいると、熱でメガネが溶けますからね。」

マジっすか!?確かに安井式の前に立つとその熱さが顔を焼きそうだ。何℃位出てるんですか?




藤原「300℃。」




おぉ、危ねぇよそんなの。スタッフからは「メガネ溶かして欲しいなぁ〜」という心無い声も聞こえてきたが、
俺がアメリカナイズドされていたら問答無用で訴訟だな。

そうこうしているとチクワに徐々に焼き色が付いてくる。
皆さんね、チクワって表面に空気が
溜まってるぢゃないですか?

あれはね、良い焼き具合になってくるとチクワの表面が
ぷく〜って膨らんできて、
それが冷めた時に出来るものなんですよ。

なんでチクワの表面ってあんなにヨレヨレしているのか
長年の謎だったんですが、これで解決!!

大体10分位焼いたら、いよいよ出来上がりなのである。
火傷しないように軍手を嵌めて鉄の棒から美しく
狐色になったチクワを外し、いよいよEat♪

はふはふ…はふはふ…





う・う・うめ〜っ!!!





お〜い!!誰か日本酒持ってこい!!

初めて焼きたてのチクワを食べたのだが、噛むたびに湯気が鼻を抜けていくもんだから、
もう香りが素晴らしいのですよ。そして愛情込めて練った分、白身魚の甘さも引き立って益々酒が恋しくなる。

この体験はもちろん一般の方に行っているものだが、賢い方はちゃんとビールを用意して、出来立てのチクワを
ビールでやるそうな。聴いてるだけでも羨ましい(笑)

沢山の珍しい剥製と美味しい体験までさせていただき、
【海の文化館】さん、そして藤原館長、本当にお世話になりました。有難うございます!!

さて今回のYAJIKITA取材、ある意味メインとなるイベントをご紹介せねばなるまい。
先週の日記でも軽く触れた、其の名も…、



全国鉄橋サミット!!



これは全国の有名な鉄橋を抱える市町村から、長が集まり、鉄橋と共にどうやって暮らしてくかを議題に議論するものである。

熊本県南阿蘇村や、東京都青梅市など、余部以外にも日本には沢山有名鉄橋のあるところはあるのだ。
集まった方々も、観光資源としての鉄橋の役割、歴史的価値、保存する難しさについて真剣に話し合っている。

全国初のイベントとして香美町町長も真剣だ。

会場には地元の中学生や鉄道ファン、そして取材陣などが埋め尽くしていた。鉄橋についてそんなに真剣に考えることなんて、
多分人生の中でもそうそう無いだろうと、ある意味覚悟を決めて議論に耳を傾けるYAJIKITA一行。

真剣過ぎて目を閉じてゆっくりと話に聞き入っている。YAJIKITA一行全員が目を閉じ、ゆっくりと頷きながら…。
ね・寝てなんかいねーぞ。

サミット終了後、町長と講演にいらしていた東京芸大名誉教授:青木栄一さんの貴重なお話を伺うことも出来た。
そちらは番組本編でお楽しみを!

香美町余部地区。
ここは勿論鉄橋が大事な観光資源なのだが、もう一つ大事な観光資源を抱えている!それが…、



カニ
越前ガニが捕れるのだが、その前に、
ベニズワイガニという茹でてもいないのに真っ赤な
ボディをした美味しいカニさんがここでは沢山捕れるのだ!

そして我等が宿泊した旅館【尾崎屋】さんには
カニコースという名物があり、今回我々は夢の様な
カニづくしを堪能する事になる!!!
【尾崎屋】のご主人:尾崎藤司(おざき・とうじ)さんに、
餘部鉄橋と共に暮らすという事を伺った後は、
ついに、ついにカニのフルコースなのだ!

インタビュー中も目の前にはベニズワイガニが
山の如しなのだ。気になって気になって仕方無い。

まず大きな二つの鍋がボクを迎えている。

おいでおいでしている。

井『尾崎さん、中にはどんなお姿のカニさんが?』

尾『一つは脚肉の蒸し焼き、もう一つは甲羅の味噌をぐつぐついわせてます。』
あぁ、もうだめだ…。早く合わせてくれ。蓋を開けてくれ。

鍋の蓋からは徐々に湯気が出てきて、それと合わせて
カニ特有の磯の香りが部屋を包む。

その昔、遠距離恋愛を経験したこともある井門宗之。
遠くにいた恋人に遭いたい欲より、
いま目の前にあるカニに遭いたい欲の方が
間違いなく上である。

尾『そろそろ開けましょうか!』

ご開帳〜☆







井&スタッフ『うぉぉぉぉぉおおおおおおお






君だったんだね?
僕がずっと捜し求めていたのは、君だったんだね?

真っ赤なボディが、熱を帯びて更に真っ赤になっているぢゃないか。甲羅味噌もしっかりぐつぐつ言ってる…。
焼いたカニのお肉は溶けてしまう程の柔らかさ。
一口頬張った瞬間に次の一口を待ちわびてしまう。

カニ味噌に至っては、舌の上で海が爆発しそうな
程濃厚な味を醸し出している。

もう何も考えられません。レポートとかしろっていうけど、
無理。旨すぎて無理。

そうこうしていると、尾崎屋の女将さんが
大きな土鍋を運んできた。

なになに?まだ何かあるんですか?
そう言えば、先程からテーブルの横にカニの足と
新鮮そうなお野菜が山盛りになっています。
それがこれから食べる何かに関係あるんですか?
女将『焼きガニの後は、カニ鍋を楽しんでくださいね♪』

あぁ、もう前世がカニかって勘違いしてしまうほどのカニ尽くし。

鍋の中に贅沢にもカニをドバドバ入れ込む。お出汁の中で野菜と共にゆっくりと踊るカニ。
まさに海と山の神様に大感謝の贅沢鍋なのであります。

味噌をいただき脚肉をいただき、鍋も堪能しながら、カニにぴったり合う日本酒をいただき…。
そして〆は勿論、カニ雑炊。卵をからめると、幸せなひと時を更に演出してくれる。
いつも赤ちゃんの様な笑顔を浮かべるカメラマンのKゴも、この時間笑いっぱなし。

ちょっと気持ち悪い。

たっぷり飲んで、たっぷり喰らって、忘れられない一夜。尾崎屋の皆さん、お世話になりました。

取材最終日に漁港に出てみた。
港からは山に挟まれた餘部鉄橋の立派な姿を
眺めることが出来る。

香住の港からやってきた小さな漁船から、
魚を貰うお婆ちゃん。
入り江に釣り糸を垂れる小学生。
なんとは無しに鉄橋を眺めるお爺ちゃん。

ここで暮らす人々には当たり前の様に、どこの風景を
切り取っても鉄橋は存在するのだ。
それほど身近にあり過ぎるものなのだ。

これから先、鉄橋が無くなっても、人々の
生活スタイル自体はさほど変化しないのかもしれない。
いや、交通の利便性は高まるわけだから、
若干人の行き来も増えるだろう。

インタビューした人々の全てが異口同音に言っていたのは、

『町のシンボルがなくなるのは寂しい』


しかしそれは、無くなるからこその想いでもあるだろう。
2007年春には架け替え工事が始まるまで、あと僅かな時間。
忘れない様に、大切にこの風景を刻み付けてほしいものである。

そう思いながら、鉄橋を眺めると、またゆっくりと夢の様な列車がガタンゴトンと渡っていった。

 
HOME兵庫1>兵庫2