周辺地図はコチラ
 
旅人 : 工藤彰乃

存続危機!大雪山の麓に残るアーチ橋。

HOME北海道1>北海道2
     
 

空は広くて遠くの山には雪が残っていて、足もとの芝生は緑が鮮やかで・・・。
自然豊かな十勝の「士幌線アーチ橋ツアー」に行ってきました。

北海道の十勝北部に帯広と十勝三股間を結ぶ78.5kmの鉄道がありました。
昭和14年に開通し、53年一部休線。そして、62年に全線廃線となった「士幌線」です。

大きな音更川に沿って鉄道が引かれたため、たくさんの橋が必要となりました。
しかし、戦時体制下で鉄材がなかったことから、鉄筋をほとんど使わず、強い構造である「アーチ橋」が作られたのです。
士幌線ではアーチ橋が44橋も作られ、そのうち14橋が残されています。

残されているアーチ橋の中で人気の高いのが「タウシュベツ橋」。ダムが建設されてから糠平(ヌカビラ)湖の水位によって
見え隠れするために、幻の橋といわれているのです。
ダムの水位が少ない1月頃から姿を現し、水位が上昇する6月ごろから沈みはじめるという幻の橋を目指しました。
今しか見られないなんてワクワクします!

タウシュベツ橋へは、NPO法人 ひがし大雪自然ガイドセンタ−の自然案内人、溝口玲さんにご案内いただきました。
まずは、溝口さんのアドバイスで長靴に履き替えてから出発です。

ガイドセンターから車で約15分移動し、「この奥にタウシュベツ橋があります。」と案内された方をみると、
白樺の木々の間に伸びるまっすぐな道がありました。なんだかとても幻想的で吸い込まれていくようでした。
以前、士幌線が通っていた線路の後だそうです。

奥へと進んでいくと、長靴に履き替えた意味がわかりました。一年の半分は湖に沈んでいるというだけあって、
道だと思っていたところは、途中から小川になっていました。
なにも知らない観光客は「どうしよう・・・、濡れちゃう、通れない。」と立ち往生。そんな言葉を横に子供のようにピチピチ、チャプチャプと進んで行きました。

そして、目の前に広がる景色!!

コンクリートで出来たアーチ橋は所々が朽ちていて迫力があり、その姿が湖に移っています。
そして、木々や遠くの山と重なっている広大な景色は何とも言えない趣があり、時代も場所も、飛び越えてしまったようでした。言葉にするなら、古代ローマのような・・・。

壊れたところからは土台に使われた石が転がっていて、今にも橋が崩れてしまいそうで、見ていると淋しい気持ちになりました。タウシュベツ橋が姿をとどめるのは、あと2〜3年だといわれているのです。

溝口さんも「あそこは、あんなに崩れていなかった。もしかすると、もっと早くに崩れてしまうかも。」と心配そうでした。
タウシュベツ橋は湖に沈むだけでなく、冬には凍ってしまうために、通常のコンクリートの10倍で老朽化が進んでいるとのこと。単純に計算すると、500年以上経っているということになるのです。時代を飛び越えた感じがするのも当然だと思いました。

下からもタウシュベツ橋を見学してみました。角度がかわるとまた違って見えます。湖に沈んでいる様子を想像し、
私が立っているところも水の底だと思うと本当に不思議でした。

そして、もう一つ不思議な景色がありました。目の前の切り株です。

以前はここも森だったのだと感じさせてくれますが、一年の半分は湖に沈んでいるのに、
切り株が腐ることなくそのままの形で残っていて、砂の上に広がっているのには驚きました。
タウシュベツ橋は、しばらく離れたくないと思わせる、引き込まれる場所でした。

そして、次に向かったのは「幌加駅」。今は無くなってしまった士幌線の線路も駅も、
ここだけは当時のまま残されているのです。
駅の看板は新しくしたそうですが、ホームはそのまま残っていました。

線路をたどって歩いてみると、映画のスタンドバイミーみたいで、どこまでも歩いていきたくなりました。
そこにいた全員の頭の中に、あの曲が流れていたはずです。

その線路の周りに、丸いコロコロとしたチョコボールのようなものが落ちていました。鹿のフンです。
溝口さんがあまりにも普通に手にとって、割ってみせて「鹿は草しか食べないから、フンも臭くないんですよ。」と言うので、
始めは躊躇していた私もチャレンジ、触ってみました。硬くて本当にチョコボールみたいで、鼻に近づけてみたけれど、
全く臭いはありませんでした。思わず鹿のフンと記念撮影しました。

同じく近くに落ちていたのは、白い毛です。鹿のお尻の毛なのだそうです。この季節に、
生え変わるから抜け落ちたという冬毛は、暖かい空気を溜められるように、毛の一本一本が空洞になっているため、
手で引っ張るとすぐに切れてしまうのだそうです。ということで、引っ張ってみると、本当にすぐに切れました。
楽しくなって何度もやっちゃいました。

もう一つ、何度もやったのが線路の切り替え。手動で切り替えをするところが残っていて、ちゃんと動くんです。
硬いので力いっぱい引きました。以前はこんなふうに動かしていたのだと、体感することができて感動しました。

次は植林です。自然が一杯だと思っていた森も、実はエゾマツなどを切り倒してしまったので以前とは違っているとのこと。
エゾマツは日差しが強いと育たないので、今は(日があたると育つ)白樺が多くなっているというのです。
そこで以前の姿に戻そうと植林をするようになり、最近は地元の小学生も体験学習の一環で
植林をすることがあるのだそうです。

私も一本だけですが、植林をさせていただきました。どうか、このまま根付いて育ちますように・・・、
いつか木になったところを見てみたいと思いました。が、立派な木になるのには300年くらいかかると聞いてビックリ!
改めて自然を壊してはいけないと実感しました。

移動する途中に、タウシュベツ橋とは別のアーチ橋がありました。こちらは、幅も細くひっそりと残っていました。


最後に向かったのが、廃線となった鉄道を木のぬくもりで再現した足こぎトロッコです。往復600mの足こぎの旅です。
一人が前に座り、後ろの人が自転車をこぎます。

始めは私が前へ。溝口さんにこいでいただきました。前に乗ると線路が近くて、進んでいくとなんだかワクワクします。
思っていたよりスムーズに景色が流れていきました。

走りながら、溝口さんがなぜツアーガイドになったのかなど、ゆっくりとお話しを聞くことが出来ました。
自然を大切にする気持ちが伝わってきました。私も大切にします!

突き当たりまで行くと、トロッコから降りて自分たちで向きをかえます。出発前にやり方を教えていただくのですが、
これもやってみると以外に簡単で楽しかったです。

帰りは私が後ろでこいでいく番です。乗せてもらう時から、重くないのかなと思っていたのですが、
とても軽くこぐことができました。スピードを出しますよ〜と調子に乗って勢いよく進んだりして、
童心に返ってトロッコを走らせました。

小学生の高学年なら、大人を乗せて進むこともできるので、親子でも楽しめそうです。
自然の中で、自分たちのトロッコだけが進んでいる、とても心が和む場所でした。

今回、私が案内していただいた「士幌線アーチ橋ツアー(エコレール付き)」以外にも、三国山に登るハイキングコースや、
季節によってカヌーに乗ったり、星空をみたりするコースもあるようです。春だけでなく、
夏休みに家族や友達同士で楽しむのにお勧めの場所です。

本当に豊かで静かな自然の中を満喫できた旅でした。仕事を忘れて癒されて帰ってきました。十勝の自然よ、ありがとう。

 
HOME北海道1>北海道2