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旅人 : 工藤彰乃

大自然に抱かれて、青森・下北半島の旅

     
 

下北半島の観光の旅。もともと下北半島は自然が豊かなイメージはありましたが、これほど癒される旅になるとは…。

まず始めに、自然を満喫したのは「薬研渓流トレッキング」。
温泉「夫婦かっぱの湯」を出発して松井哲朗さんに案内していただきました。
大畑川の脇を歩いていくのですが、道の両端には青森ヒバが多く、ほんのりとヒバの香りがします。
上を見ると木々の葉の間から木漏れ日が見え、周りには川の流れる音と鳥の声だけ。
よく自然を表現するときに使われる言葉ですが、まさにその自然をいま感じているのだと思いました。

林の中は、自然のまま残されているところが多いのですが、人工的に作られたヒバの実験林もあり、全国各地の木が
植えられ、いろいろな種類の木の成長を調べているということでした。自然を残していくための努力なのですね。

つり橋を通ると少しゆれてドキドキしましたが、橋からの景色は最高でした。川の水が透きとおっていて、底が見えています。
この辺りは岩場だというのでよく見ると、一枚の岩だというのがよくわかります。
川の底や岸には石がごろごろというイメージがありますが、それとは違った独特の景色が広がっていました。

薬研渓流のトレッキングは1時間くらい歩いても、疲れるどころかヒバの森林浴で癒され、もっともっと歩きたくなるような、
あっという間の時間でした。

続いて訪れたのは「わいどの木」。お店の中に入った途端、とても良い木の香りがしてきました。
青森ヒバを使ったものがお店の中にたくさん並んでいます。棚や大きなテーブル、イスなど家具もあります。 奥へ進むと、
ヒバで作った色々な動物のオブジェがあり、驚いたのは雛人形。家に飾っておきたいと思うとてもかわいいものでした。
それ以外にも、まな板、コースター、桶、お風呂用のイスなど日常で使うものも…。
こんなにたくさんのものが出来るのかと見ているのが楽しくなりました。

社長の村口要太郎さんは、とても気さくな方でした。
ヒバの成長には、この辺りの下北半島の風土があっていることなどを教えていただきました。また良いところを生かし、
無駄なく使っているアイデアに驚きです。なかでも、なるほどと思ったのがコースター。
グラスを乗せて飲んでいる間に水滴が流れてくると、その水滴をヒバが吸ってくれる。
その水滴が蒸発するのと同時にヒバのよい香りがしてくるという話は興味深く、ぜひ使ってみたいと思いました。
実際に後日使ってみると、本当によい香りがしてきて嬉しくなりました。

その他、私が気に入っていた雛人形は、イスを作るときに繰りぬいた半円の部分を利用していたりと、
余すところなく利用されているので本当にヒバを大切にしているということが伝わってきました。
また、お店の向かい側には、すべてヒバで造られた家があり、予約をすれば宿泊もできるそうです。
体に優しいので特にアレルギーをもつ方たちにも注目されているのだそうです。

夜は下風呂温泉に移動。風間浦村で行っているイベント「漁り火ウォーク」に参加しました。案内をしてくださったのは、
風間浦村役場の木下さんです。この日、参加したのは25名ほど。始めに提灯を渡され、ワクワクしながらの出発です。
旅館のおかみさん達も一緒についてきてくれて、足元に気をつけてなどサポートしてくださるので街灯のない夜道も安心です。

井上靖さんが小説「海峡」を執筆したことでも知られている下風呂温泉ですが、「海峡いさり火公園」の中に、
平成元年に「アカエリヒレアシシギ」の散文詩が刻まれた文学碑が建てられています。
井上靖さんも、こんな立派な石碑を…と感激されたという厚みのある大きな石碑で、見ていると感慨深くなりました。

その先には池がありました。ただの池だと思っていたのですが、人口中海という珍しいもので、海とつながっている池なのです。満潮と干潮の時では池の水位が違うというので驚きました。池が海だということを実感したのが、
池を覗いた時にウニがたくさんいたことです。木下さんが浅いところにいたウニをとって、私たち参加者に持たせてくれました。私も手の上に乗せてみると、ウニが動いてくすぐったかったです。その後、池に返したときには、
改めて、池にウニ…と不思議な感じがしました。

また、この池ができる前からあったという「二見岩」も不思議でした。
海上安全と大漁を願う恵比寿神社で移動することも出来ないため、公園の中にそのまま残したのだということですが、
池の中に恵比寿神社…。しかし、地元の方たちが大切にしていることが伝わり、私も手をあわせて通りすぎました。

そして、真っ暗な防波堤を通り先の方まで進みます。途中、釣り人たちがイカ釣りを楽しんでいるので、
静かに横を通りすぎようと思ったのですが、気になって声をかけてみたところ、ちょうどイカを釣りあげるところ!
その瞬間に出会えたことが嬉しかったです。

防波堤の上へ登ると、真っ暗な海が広がっていて、遠くにイカ釣り船の灯りがみえました。
今は、燃料費があがった関係で夜に船を出す漁師さんが少なくなってしまったそうで、
灯りはそれほどたくさんありませんでした。燃料費があがったことに私も憤りを感じました。
そんな事情をかかえた漁り火の灯りは、とても遠くにいるはずなのに想像していたよりも明るく、まぶしいので驚きました。
そして感動しました。天気の良いときには北海道の明かりもみえるというので、この日かすんでいたのがとても残念でした。
でも、楽しい時間を過ごすことができ、漁り火をみることができたので参加してよかったなぁと思いました。

翌日、佐井村から観光船に乗って向かった「仏ヶ浦」も感動的な場所でした。
出発するときは、少し雨が降っていて心配だったのですが、案内をしてくださった佐井定期観光の島野さんは
「大丈夫、晴れ男ですから」とニッコリ。そして、仏ヶ浦へ。

移動中の船からみていると、出発したころの断崖は黒っぽい岩だったのに対し、仏ケ浦の岩は白っぽい岩で、
急に断崖の色が変わりました。凝灰岩という白緑の岩なのだそうです。
その岩の壁は海の浸食によって不思議な形をしていて、崖の上から岩が流れているかのようにも見えました。
その断崖絶壁は2キロにわたって続いていて、高さの違う三角の岩が連なっているような景色は、
五百羅漢だといわれるのがわかります。あまりのスケールの大きさに圧倒されっぱなしでした。

仏ケ浦に着いて船を降りるころ、先ほどまでの雨がウソのように空は晴れて暑いほどでした。さすが晴れ男!島野さんの力。
とも思いましたが、仏の名がつくこの地がありがたい場所なのだと感じた瞬間でもありました。

仏ヶ浦の大きな岩は様々な形に見えます。岩の上に、二宮金次郎がいたり、大きな鳥が止まっていたり…。
ニワトリのオスとメスが隣どうしの岩に止まっていたりと、自然の芸術作品が色々とありました。
また、如来の顔(首から上)にみえるものもあり、浸食によって出来たとは思えない形ばかりでした。
実際に見てみると、写真では分からない感動があります。ぜひ訪れて欲しい場所です。

下北半島の旅の帰りは下北汽船で、津軽半島へ。大きなフェリーでの移動がまた楽しくて、ずっと海を眺めていました。
ひと言に下北半島といっても、いろいろな観光名所があり、どこへ行っても自然の壮大さや美しさに出会えました。
写真ではわからない、実際の景色の素晴らしさを感じるために、ぜひ足を運んでみてください。
もちろん、おいしい食べ物も、温泉もあります。素敵な景色とともに楽しめば、体も心もリフレッシュされますよ。