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旅人 : 中田美香

東京の地下に畑が広がっていた!!

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ぐるぐるっと360度見渡すと、そこは高層ビル群、そして足早に目的地へと急ぐビジネスマンたち。
ここはまさにコンクリートジャングル、東京大手町である。
アスファルトだらけのこの土地に、なんと農園″が広がっているという。

その場所は、かつて都市銀行の金庫があったビルの地下に位置する「パソナ02(パソナ・オ−ツー)」。
太陽光の全く届かない屋内の地下で植物栽培を行っている、なんとも不思議で、なんとも斬新な、都市空間だ。

地下へ下りるエレベーターに乗り込み、扉が開くと早くもぷわ〜ん″と草の青くさい薫りが漂ってきた。

エントランスの壁には、ちっちゃい花を咲かせたアサガオのツルが上から下がっていて、それはまるで壁画アートのようだ。
室内のあちらこちらには間接照明が当てられていて、まるでおしゃれなカフェのような雰囲気で、すっかり寛ぎモードな私。
このステキなライティングを是非ともMYインテリアの参考にしたいなぁ〜なんて思ってシミジミ見ていたら、
「この照明が太陽光の代わりなんです」とパソナグループ農業プロジェクトチームの板見さやかさんに教えて頂いた。
なるほどー。
単なるインテリア目的ではなく、ここにあるライトは太陽光の代わりをし、
心地よい温度は、植物の生育のために人工的に操作されているのだ。

特徴別に6つの部屋がある。
最初に訪れたのは、「花畑」という、文字通りにさまざまな花が植えられた空間。
驚いたのは、照明の色によって生育に違いが出るという点。それを示すべく、
赤色LEDと青色LEDのそれぞれのライトがあてられた栽培例があった。

全ての部屋はガラスの扉で仕切られている。自動ドアが開くと、次に見えてきたのは、「ハーブ畑」だ。
入室した瞬間になんとも心癒されるハーブの薫りがムンムン漂ってきた。なんて落ち着く薫りだろう・・・。
ここで会議をしたら、皆がニコニコし、良い企画も浮かんできそうだ。

つづいての空間は「棚田」をイメージしており、田んぼに稲がふっさふっさ生えていた。年に3回稲刈りも可能だとか。
お米は美味しいですか?と板見さんに尋ねてみたが、あいにく召し上がったことがないらしい。
米好きとしては、味が気ぃーにーなーるー。
フと気がつくと、先ほどから風がビュービューと吹いている。置いてあるのは、家庭用の扇風機だ。
板見さんの説明によると、自然界の風をこの扇風機で再現しているらしい。
ハイテクな施設に、いたってシンプルでアナログな扇風機とは・・・。
このミスマッチがおかしい!

4つ目の空間は、「菜園栽培」というタイトルがついていた。入室した瞬間、まぶしすぎて思わず目をパチパチ。
アルミホイルが部屋の隅々に貼られていて、SF映画のワンシーンのようなのだ。
ここには水耕栽培されている瑞々しいトマトが、上からヘチマのようにぶら下がっていた。
アルミには光を乱反射する効果があるそうだ。トマトの水耕栽培も、ディスプレイの仕方も、すべてが斬新である。

かわって「野菜畑」。ここには、京野菜の"賀茂なす"をはじめ、各地の伝統野菜が栽培されていて、ワクワクする。
すくすくと育てるために、メタルハイドロランプという高品質の水銀ランプを使用しているらしい。
四季を問わず、さまざまな野菜を頂けるこの空間は、従来のハウス栽培に加えて更に人口光までプラスされ、よりハイパーだ。マンションや職場などでも、ごく小さな空間さえあれば菜園作りが可能であることを証明しているこの空間。
いつの日かお昼休みやアフター5に気軽に農業を行いながら、採れたて野菜を頬張るなんてことが出来たら素敵だな。

最後は「育苗室」。まるで三段ベッドのようにサラダ菜が栽培されていて、農場というよりも工場のような風景だ。
種をまく時期をズラすことで、毎日新鮮なヤサイができるそうだ。

この正真正銘の無農薬な新鮮サラダ菜の試食もさせていただいた。これがまた、瑞々しく歯ごたえもあって、
しっかりと、ちゃんと美味しいのだ。栄養分も太陽光のもとで栽培されたものと同程度あるそうだ。
ちなみに、こちらで頂いた特製ゴマドレのお味も◎だった。



板見さんと一緒に!

食糧自給率が40%前後の日本は、今も多くの農産物を海外に頼っている。
そんななか、この技術が自給率を上げるきっかけにつながるかもしれないと思う一方で、やはりヒトが汗水を流し、
害虫や外気から必死に守って育てたヤサイたちのほうが、温室育ちのヤサイたちよりもずっとタフなのではという思いもする。
それでも帰り際に、実際に秋田県で米作りをしている見学者の方にインタビューさせて頂き、
彼女たちが目を輝かせて口々におっしゃった
「せっかく丹精込めて育てた稲が、虫や天候の影響を受けて一瞬にしてその苦労が水の泡になるとやりきれなくて・・・。
この素晴らしい技術があったら、なんと幸せなことか」という言葉。
私は少々複雑な思いを抱え、パソナ02をあとにした。

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