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旅人 : 井門宗之

アートを巡る香川・直島〜エコの旅〜

     
 

さて今週も前回に引き続き、香川県直島を巡るYAJIKITA ON THE ROAD。
今回の旅も変わらずに旅人:井門、D:横山さん、作家:吉武さんという布陣。
男3人、見るのも聴くのも始めてな物ばかりで、もう直島行きのフェリーの中からはしゃいじゃって。
直島にいる間中、ドーパミンが出ちゃってたんでしょうね。
帰りのフェリーでのオッサン3人の赤ちゃんの様な寝顔と言ったら…(笑)
おっさん3人がアートな島で一体何に一生懸命になっていたのかと言うと…、今回はエコ!

先週はアートの島・直島という側面をご紹介しましたが、
今週は【エコの島・直島】をご紹介する旅となりました。
「直島でエコ!?」とお思いの皆様、いえいえ、直島って、実は凄い取り組みをしているんです!
わたくしも今年晴れて『エコ検定』なるものを取得しまして、となると直島の取り組みが気になる。
今回の旅は、そんな直島のエコの取り組みをお伺いする所から始まりました。

お話しを伺ったのは、直島生まれ直島育ち!!直島町環境水道課の前田浩作さん。
建築ユニットSANNAが設計を手掛けた、見るからに近代的な海の駅:直島でのインタビュー。
全面ガラス張りの開放的な雰囲気に、前田さんも「ちょっと恥ずかしいですね…(笑)」なんておっしゃっていましたが、僕もこんなおしゃれな場所でのインタビューは数えるほど。
そんな場所で前田さんは直島町の取り組みについて色んなお話しをしてくれました。

実は直島は平成14年3月28日に全国で15番目のエコタウン事業の承認を受けています。
このエコタウン事業って言うのは、平成9年から始まった事業で、要は「町全体で環境と調和していこうよ!その為に色んな物を町の中で循環していこうよ!」と言う事業。日本全国にエコタウン事業は広がってきているのですが、直島町もその中の一つなんです。割と早い段階で承認を受けていると言っても良いでしょう。

そもそも直島が環境問題に対して、積極的に取り組んでいるのには訳があります。
古くは三菱合資会社の銅製錬所が設立された事で豊かな島だった直島。
現在も島の北側の大部分は三菱マテリアルの製錬所があるわけですが…、
銅自体の価格が低迷していた頃、島の事業転換を迫られていた時代、ある事件が起きました。
それが戦後最大級の産業廃棄物不法投棄事件、豊島事件です。

およそ20年前の事ですが、直島のお隣の島・豊島で、大量の産業廃棄物不法投棄が起きました。
廃棄物の不法投棄は海を汚し、そこに棲む生物にも大きな影響が及んでしまう。
そこでハード面として三菱マテリアルの大規模な製錬施設のあった直島に、
県と三菱マテリアルが一丸となって「この施設を活用したリサイクルセンターを作ろう!」と立ちあがったんですね。そしてそれが実現して、産業廃棄物の中間処理施設なんかが完成した。
これは凄い事ですよ。だって自分達が暮らす場所に、自分達が出したわけでもない廃棄物の処理施設を作るわけですから。例えインフラがあるとしても、直島で暮らす人たちの理解が無いと、これは実現不可能な事だった。もちろん、行政も直島の人々に納得のいく説明をしようと必死になる、結果、直島は日本でも類を見ない程のエコ先進地域となり、【エコアイランドなおしまプラン】が策定されたと言うわけなんです。前田さんも「当然、島に暮らす皆さんには細心の配慮をしながら進めてきた。」と仰ってましたが、…う〜ん。この島が抱く環境への想いには、つくづく頭が下がります。

豊島事業に関してはあと10年で県の補助が無くなる。それ以降にどの様にこれを活用してくか、それが今後の課題ではあるとも前田さんは仰ってました。またハード事業が整ったとしても、そこに暮らす直島の人の心に環境への問題意識がしっかりと根付かないと、成功とは言えません。

「自然も美しく、環境面でも先進的であるという島の姿に、結果的に地元の人々に誇りを持って欲しい、それがソフト事業なんです。」

そんな風に力強く話してくれた前田さんの表情が、僕には忘れられません。
あっ、前田さんには美味しい美味しい饂飩のお店まで教えてもらっちゃった(笑)
しかも車で道中先導までしていただいて…何から何まで有難うございました!!
あのうどん屋さんで食べた『肉うどん』の味が…実はいまだに忘れられませ〜ん!
出汁があっさりとしているんだけどコクが信じられない位あって、うどんの喉越しが最高で…。
やっぱり香川の皆さんは普段からあんなに美味しいうどんを召し上がってるんですね。
東京でそんなに美味しいうどんと出会った記憶がララバイの井門としては、衝撃でした。
はぁ〜…(いま妄想うどんをすすり中…、苦笑)

さて、せっかく【エコアイランドなおしまプラン】のお話しをお伺いしたのですから、
ハード事業の見学に行かせて戴きましょう!これもYAJIKITAの醍醐味。
向かった先は廃棄物の中間処理施設、「直島環境センター」。

海の駅・直島から、直島町役場さんのはからいで電気自動車で移動したYAJIKITA一行。
やっぱり、と言ったら当たり前なんですけど、音がしないのね、電気自動車。
我らがYAJKITA構成作家の吉武ちゃんまんが物凄い反応を示す中、車は淡々とセンターへ。

アートの取材を終えた段階で、直島の風景は海と自然、アートが広がるばかりかと思っていたんですが、三菱マテリアルの製錬所近くになると流石に風景は一変します。
見渡す限り、まるで映画のセットの様な工場設備が広がり、行き交う車も作業車ばかり。
そんな工場を縫うようにして走ると、目の前に大きな青い建物が見えてくる。
これが「直島環境センター」。
この「直島環境センター」ではどんな事が行われているのかというと、豊島で出た産業廃棄物を海上輸送で運んできて、直島で出たゴミ等と一緒に1300℃の熱を加え溶融炉で溶かし、スラグと呼ばれる砂に似た物質に替えて道路工事などに有効利用したり、その際に発生した【溶融飛灰】と呼ばれる副成物を三菱マテリアルの有価金属リサイクル施設・溶融飛灰再資源化施設に運び、そこから金や銀などを抽出して再資源化する…と、工程の一つ一つは何とも複雑な技術を伴っているのだが、 ようは【ここで再資源、再利用する事によって、産業廃棄物やゴミから、一切無駄な物を出さない!】 という、とてつもない物なのであります。熱回収=サーマル・リサイクルなども行って、あます所なく発電にも利用したり…う〜ん、何だか今回の取材は唸る事だらけだぞ…。

産業廃棄物…というとイメージは「埋め立て」だったと思うのですが、そうでは無い。
【ゼロ・エミッション】という言葉が環境用語にも度々登場するのですが、まさにここはそのゼロ・エミッションを実現している施設なんですね。一つ一つの行程は中に入ると見学が出来るので、
是非皆さんも予約をしてご覧になってみてはいかがでしょうか?ちなみにYAJIKITA一行が訪れた時はセンターの西山ゆみさんにご案内戴きました。何と西山さん、井門の朝の生放送を聞いてくださっているそうで、取材も和気あいあい(笑)いや、本当に分かりやすい解説、有難うございました!!

その後、我々YAJIKITA一行は三菱マテリアルの施設も見学に行ったのですが、ここは撮影も録音も全てNG。それだけ厳重な管理のもと、資源のリサイクルなどが行われているので、僕らは中を解説して戴きながら「おぉ〜!ここは工場萌えにはたまらないですね!」などとおバカな事を言いながら、施設の方に苦笑いされたのでした(苦笑)

そういえば私、井門宗之、【うぃ・らぶ・なおしま】の公認サポーターに任命されまして(笑)
まぁ、前田さんいわく『サポーターになります!って言って時点で成立ですから!』と…。
スタジオの中田美香さんにも『サポーターとして頑張ってくださいね!』と気合の一言を言われたので、こりゃあ、ふんどしを締め直していかなきゃ…。
前田さんにはお土産として『直島Tシャツ』を戴いたので、今年の夏はこれを着て下北沢を歩きたいと思います。

今回、直島の色んな所を取材して、様々な方にお話しを伺う事が出来たのですが、
皆さん仰るのは【直島に暮らしていて良かった】なんですよね。
海の駅・直島でお話しを聞く事が出来た「直島町観光協会 副会長」奥田俊彦さんも、
この島で暮らしている事が自慢だ、と仰る。
芸術や若い観光客がどんどん入ってきて、島は活気に溢れているのは事実だ。
それと同時にこの島は環境面でも、同じ様に新しい事を取り入れている。

島全体が、一つの循環型社会を形成しているんですよね。
それは環境面だけではなくて、例えば若い観光客が次々とこの島を訪れる事によって、
過疎に悩んでいた町の人達がどんどん元気になる。これって元気を循環してるって事にもなるんじゃないかなぁ、なんて思ったわけです。きっと本来はね、世の中は【元気や勇気を循環する社会】ってのが理想なはずなんです。暗いニュースが当たり前の様になってしまった今の社会の中で、
この島に循環しているそんなプラスのエネルギーは、きっと新しい価値観として根付いていくような気がしました。

そもそも産業廃棄物の再資源化って、それまで廃棄されていた物に光を当てるって事じゃないですか!
物だって人だって、時間をかけて手間をかけて光を当てれば必ず輝くんです!
島全体が循環型社会を形成しているこの直島で、僕はそんな事を感じました。

新しい価値観がきっとこの小さな島から世界中に発信される、そんな日を信じて…。